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医師が知りたいのは「前回からの変化」
——10分の診察を、記録で厚くする
発達外来の診察は、たいてい10〜15分。待った時間の割に短くて、「言いたかったことの半分も言えなかった」と帰り道で気づくことがあります。医師の側も、限られた時間で見立てと次の一手を決めなければいけません。
そのとき医師がいちばん知りたいのは、「前回の受診から、何が変わったか」です。診察室で見えるのは、その日のほんの数分。家での変化は、保護者の言葉でしか届きません。
医師の頭の中にある、3つの問い
- 見立ては合っているか——前回の見立てと、家でのようすがずれていないか。新しく出てきたこと、消えたことはないか。
- 支援や薬は効いているか——始めたこと(療育、環境の工夫、薬)のあとで、何が変わったか。副作用はないか。
- 次に何をするか——今いちばん困っていることは何か。検査や紹介が要るか。
この3つに答えるために、医師は毎回だいたい同じことを聞きます。睡眠、食事、排泄。癇癪や困った行動の頻度・きっかけ・持続時間・収まり方。ことばややりとりの具体例。園での様子。そして「今日はどうされましたか」——つまり主訴です。
「癇癪があります」より、「週3回、着替えのとき、20分」
医師にとって、いちばん使える情報は具体的で、数えられて、日付があるものです。
伝わりにくい:最近、癇癪がひどくて。
伝わる:この1か月で癇癪の記録が4回。9/10・9/12・9/18・9/19で、3回は着替えのとき。20分くらいで、抱っこすると収まります。
伝わりにくい:ことばが増えました。
伝わる:9/7に「じいちゃん!」と呼びました。今は単語が96語、2語文が4つ。初語は2025年4月の「ママ」です。
伝わる:この1か月で癇癪の記録が4回。9/10・9/12・9/18・9/19で、3回は着替えのとき。20分くらいで、抱っこすると収まります。
伝わりにくい:ことばが増えました。
伝わる:9/7に「じいちゃん!」と呼びました。今は単語が96語、2語文が4つ。初語は2025年4月の「ママ」です。
数えるのは「親の頑張り」ではなく「記録」です。回数が少なくても、多くても、それは評価ではなく事実として役に立ちます。
診察の前日に、3つだけ
- 今日いちばん聞きたいことを1つ決める——診察は主訴から動きます。先頭に置くと、質の高い10分になります。
- 前回から変わったことを、良いことも困ったことも1つずつ——「増えた」「減った」「新しく出た」。
- 園の先生から聞いたことがあれば、そのまま——家と園で様子が違うこと自体が、医師には大事な情報です。
きろくのタネの「外来の先生へ」ノート
きろくのタネの外来用ノートは、この読み方に合わせて組んであります。「よてい」に受診日を入れておくと、次のノートを作るときに前回の受診日が自動で入り、その期間の記録に絞られます。先頭には「前回(日付)からの変化」——この期間の記録件数、癇癪・気持ちの記録の件数と日付、新しく出たことば。続いて話せることば(初語の時期つき)、5領域の様子(記録のない領域は「なし」)、園の先生から聞いたこと、そして「先生にうかがいたいこと」。A4・モノクロで、カルテに挟める形です。
この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、医療上の助言ではありません。診察の進め方は医療機関・医師により異なります。お子さんの発達について心配なことがあるときは、かかりつけの医師にご相談ください。